お知らせ
2020/10/06
利用者によるハラスメント、対策強化を検討 厚労省、次期介護報酬改定で
介護現場でのハラスメントから職員を守る対策を強化するため、厚生労働省は来年度の介護報酬改定でも何らかの手を打てないか検討していく。利用者・家族がパワハラ、セクハラをするケースが少なくないことも念頭にある。
9月30日の社会保障審議会・介護給付費分科会で方針を示した。
例えば、相談窓口の設置や研修の実施などを事業者に促す措置を俎上に載せる。これまで対策マニュアルの作成などを行ってきたが、現行の介護施設・事業所の運営基準にはハラスメントに関する記載がない。取り組みが拡がる方向でここを見直す案が浮上している。
職場でのハラスメントはどの分野でも問題になるが、介護業界は古くから独特の事情に悩まされてきた。厚労省の調査では、例えば特養の職員の71%が利用者からハラスメントを受けたと答えている。対策の強化で働く環境を改善し、離職の防止を図るべきと指摘する関係者は多い。人手不足が危機的なレベルに至るなか、その必要性は以前より更に大きくなっている。
男女雇用機会均等法や労働施策総合推進法には既に、相談窓口の設置などを事業者の義務、努力義務とする規定が設けられている。ただ介護施設・事業所の運営基準は特に言及しておらず、厚労省はこれを論点として提示した。
「個々のケースをハラスメントと捉えるか、職員の介護技術によって解決できるものと捉えるか、判断は難しい」。30日の審議会ではそんな声もあがった。「認知症の利用者への配慮も欠かせない」と指摘する委員もいた。
厚労省は今秋にも具体策を提案するとみられる。担当者は会合後、「今日の委員の意見も踏まえて更に議論を深めていきたい」と述べるに留めた。