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お知らせ
2020/10/14

グループホームの夜勤体制、基準緩和に慎重論相次ぐ 「職員の負担が増す」

来年4月の介護報酬改定に向けた協議を重ねている審議会の9日の会合 − 。厚生労働省はグループホームを取り上げ、夜間の職員体制のあり方をどう考えるべきか改めて尋ねた。

経営サイドが要請している人員配置基準の緩和について、多くの委員が否定的な立場を表明。「既存の職員の負担が増す」「サービスの質の低下につながる」などと“副作用”を懸念する声が相次いだ。

厚労省は今後、方針を決定する年末に向けて引き続き調整を進める構えだ。慎重論が大勢を占めるなか、緩和を強行するのは非常に難しいとみられる。担当者は会合後、「今日の議論も踏まえてしっかり検討していきたい」と述べるに留めた。

第187回社会保障審議会介護給付費分科会資料

現行、グループホームの夜勤の人員配置基準は1ユニットごとに1人。以前は2ユニットで1人も認められていたが、火災で悲惨な結果を招いたこともあって2012年度から厳格化された。

これを緩和して欲しいという要請は、深刻な人手不足に苦しむ事業者が主に行っている。日本グループホーム協会は8月の審議会のヒアリングで、以下のように提案した。

「見守り機器の導入やオンコールの緊急対応要員の確保などにより、入居者に支障がなく、安全が図られる場合には、事業所の状況に応じて柔軟に対応できるよう、2ユニットで1人の夜勤も認めて頂きたい」

9日の会合でも、施設の経営者で組織する団体を代表する委員が、「人材確保が非常に厳しく、やむを得ず緩和せざるを得ないような実態がある」と吐露した。

これに対し、「ユニットケアの理念(*)を守るべき」「既存の職員の負担が更に重くなり、離職につながってしまう」といった反対意見が続出。自然災害が増加傾向にあることを念頭に、「利用者の安全を守る観点から緩和すべきでない」との指摘もなされた。

* 厚労省はこの日の資料で、「1人の職員が少数の利用者に関わることによって、その入居者の生い立ちや経歴、生活の糧としているもの、趣味・嗜好に至るまでを把握し、それを前提として個別ケアを行うこと」と説明した。

人手不足を論拠に人員配置基準の緩和を求める主張は、グループホームだけでなくサービス横断的に展開されている。ただ現場の関係者の反発は根強く、次の改定では実行されても一部に留まる公算が大きい。その後も争点としては残る。ロボットやセンサー、ICTなどの活用と絡めて具体化できないかという検討が、来年度以降も政府内で続けられる見通しだ。

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