BLOG

< 記事一覧へ戻る
お知らせ
2020/08/08

処遇改善加算、事業者から裁量拡大を求める声 「使いづらい」「不公平」

来年4月の介護報酬改定に向けた協議を重ねている審議会が3日に実施したヒアリング − 。介護職員の処遇改善加算、特定処遇改善加算のリソースの配分をめぐり、事業者でつくる団体から経営サイドの裁量を拡大するよう求める声が相次いだ。

全国介護事業者連盟の斉藤正行氏は、「処遇改善は大変重要な課題だが、他方で、職員の処遇は人事戦略など企業経営の根幹に関わること」と指摘。「事業者の裁量権が拡大される方向で議論を進めて欲しい」と要請した。 全国社会福祉法人経営者協議会の柿本貴之氏は、会員の特養などから寄せられた「対象職員と対象外職員とで不公平感がある」との声を紹介。「多くの法人が使いづらいと感じている」として、「法人裁量の拡大」を注文した。

第181回社会保障審議会介護給付費分科会資料

処遇改善加算は、業界の深刻な人手不足の解消を図る国の施策の目玉。事業者の収入ではなく介護職員の賃金に報酬が届くように設けられた仕組みだ。事業所内での使途は決まっており、例えばケアマネジャーや看護職員などの賃上げには充当できない。 昨年10月に導入された特定処遇改善加算には、リーダー級の介護職員の賃上げを優先させるという基本的なルールがある。現場で長く頑張っても賃金が上がっていかない現状を改善することが目的。将来の生活、あるいはキャリアアップの道筋を見えやすくし、仕事としての魅力を高めようという狙いがある。 ルールを弾力化して事業者の裁量を拡大すれば、こうした施策の趣旨は希薄になる。この是非をどう考えるかが論点。今回のヒアリングでは、「処遇改善加算は基本報酬に組み込むべき」との声もあがった。 厚労省は次期改定で打つ具体策を年内に固める方針。審議会の委員の間には両論がある。既存のスキームを支持している関係者も多く、最終判断に至るプロセスでは曲折もありそうだ。

  • 新しい記事へ
  • 古い記事へ