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お知らせ
2020/07/13

介護職員の平均給与、月30万円超える 人手不足や加算で約1万円増 厚労省

厚生労働省は10日の専門家会議で、介護職員の処遇の動向を探る調査の最新の結果を公表した。いずれかの処遇改善加算を算定している事業所で月給・常勤で働く介護職員の給与(*)は、昨年9月の時点で平均30万970円。2017年9月と比べて1万850円上がっていた。1万850円の内訳は、基本給が3230円、各種手当が3610円、一時金(ボーナスなど)が4010円となっている。

* ここでいう給与

基本給+各種手当+ボーナスなど。いわゆる手取りではなく額面。各種手当には時間外手当も含まれる。ボーナスなどが出ているところは、4月から9月に支給された総額の6分の1を足している。

月給に12をかけた年収でみると平均361万1640円。前年(348万1440円)より13万200円上がっている。

昨年度は全体で0.54%の介護報酬のプラス改定があった。処遇改善加算は拡充されていないが、深刻な人手不足もあって多くの事業者が賃上げに踏み切ったとみられる。最も高い加算(I)を取っているところが増えたことも影響した。

 加算I69.3%

この調査は全国の特養や老健、グループホーム、訪問介護、通所介護などが対象。7908事業所から有効な回答を得たという。

介護事業経営調査委員会資料

それによると、処遇改善加算を取得している事業所は全体の91.1%。加算(I)は69.3%で、前回(64.9%)より4.4ポイント上昇していた。加算(II)と加算(III)はともに約10%。廃止が予定されている加算(IV)以下は1%だけだった。

加算(II)の事業所が加算(I)を取れない理由では、「職種間・事業所間のバランスがとれなくなる(44.4%)」「事務作業が煩雑(37.2%)」が目立っている。「昇給の仕組みをどう定めたらいいか分からない」も21.1%と少なくなかった。

 7割が介護福祉士の取得を支援

いずれかの処遇改善加算を取得している事業所の給与の引き上げ幅を勤続年数別にみると、短いほど大きい傾向があった。3年目は1万870円増、2年目は1万2230円増、1年目は2万8590円増。新たな人材の確保に向けた事業者の工夫が反映されている。

給与アップ以外の処遇改善を尋ねる質問では、「介護福祉士を目指す職員への実務者研修の受講支援」に69.3%の事業所が取り組んでいることが分かった。「事故・トラブルへの対応マニュアルの作成による責任の所在の明確化」は84.5%が実施していた。

政府は今年10月から、処遇改善加算を改めて拡充して介護職員の給与をさらに引き上げる方針。消費税率の引き上げによる増収分を財源に約1000億円の公費を新たに投入する。元気な高齢者や外国人の受け入れ、現場のイノベーションも同時に進めていく計画だが、人手不足をどこまで解消できるかは不透明だ。

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